賀茂川と高野川が合流する三角州に広がる糺の森は、一帯がうっそうとした木立に覆われています。ここには、下鴨神社(賀茂御祖神社)の社殿(国宝2棟、重文53棟)が点在しており、古代より神域として人々の崇敬を集めていました。下鴨神社の創建当時は広大な森林地帯だった糺の森ですが、応仁の乱をはじめ度重なる兵火や、明治4年の社寺上知令の施行などにより、縮小されていきました。現在は、約12.4haが「史跡糺の森」となっています。
 この森を構成している樹木は70%が落葉樹で、ケヤキやエノキ、ムクノキ、クスノキなどが自然のままの姿を見せています。そのなかで、クスノキの古木については人の手によって植えられたことが明らかになっています。京都の社寺の境内にはクスノキの巨木が育っているところが多く、これらは昭和9年の室戸台風によって受けた被害から再生するために苗木が植えられたとされているからです。
 糺の森は古代からの自然を残す場所として知られていますが、ツバキの木がなぜか多く、その花は落葉樹がほとんどの森のなかにあって人目を引きます。
 この森を住処として暮らす生き物に野鳥がいます。野鳥は森にとってなくてはならない存在で木々と共に共生しています。というのも、鳥達が食べた木の実が、糞に含まれて播かれ芽を出すからです。これは自然に地面に落ちたものより発芽しやすいのです。この森の鳥類の特徴としては、留鳥と冬鳥が多いようです。


エノキ、ムクノキ、シイ、クスノキ、ケヤキ、ツバキ


チョウ類(約50種)、甲虫類(クワガタムシ、タマムシ、カミキリムシ、オサムシなど)、セミ(ニイニイゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ)、ハチなど


・留鳥─ 1年を通じて観察できる鳥 コサギ、キジバト、コゲラ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、エナガ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ムクドリ、カラスなど

・夏鳥─ 春に南から渡ってきて繁殖し、秋に再び南へ移動する鳥 アオバズク、ツバメなど

・冬鳥─ 秋に北の繁殖地から渡ってきて越冬し、春に再び北へ移動する鳥 ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、ウグイス、アオジ、イカル、モズなど